食に関する本のブログ

玄米のエビデンス 第7章(益崎裕章)要約

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今回は、「玄米のエビデンス 第7章」 著者 益崎裕章氏の本の要約です。

さっと動画で見たい方は、こちら、約8分半です。

文章で読みたい方は、こちら。目次でお好きなところからお読みいただけます。

玄米のエビデンス 第7章 著者 益崎裕章氏

現代では医療技術の発展により、人々は以前よりも長く生きられるようになりました。しかしながらその反面、生活習慣病になる人の割合も増えたと言われています。その原因の一つが食生活の変化です。食の欧米化やファストフードが身近になったり、美味しいものが身の回りに溢れるようになったりした反面、私たちの健康も脅かされやすくなりました。

では、一体私達はどうすれば良いのでしょうか?ここで役に立ってくるのが”玄米”です。今回は玄米の健康への効用をまとめた書籍である「玄米のエビデンス」の第7章の要約をしていきます。第7章では琉球大学大学院医学研究科教授の益崎裕章氏による「健康長寿に貢献する玄米有効成分~分子栄養学の最新知見~」について解説されており、主に生活習慣病である「糖尿病」に玄米がどのように作用するかについて学ぶことができます。本要約を通じて、玄米食の有効成分についてさらに詳しく知り、皆様の健康生活の一助にでもなれば幸いです。

本書の要点は以下の三つです。
(1)玄米が持つ生活習慣病改善効果
(2) γ-オリザノールによる食生活の改善
(3)玄米を活用して”満足しない脳”を”足るを知る脳”に変える

玄米が持つ生活習慣病改善効果

玄米はかつて「天然の完全食」と呼ばれていました。その理由は玄米が食物繊維やビタミン、ミネラルなどの多様な栄養成分をバランス良く豊富に含んでいるからです。さらに食後高血糖を抑制するGI食品としても注目されています。

でも、これだけではありません。なんと筆者らの研究チームによって、マウスの実験にて玄米成分が高脂肪食に対する嗜好性を軽減させて抗肥満・高糖尿病効果を発揮することや、玄米に特異的かつ高濃度に含まれる有効成分である「γ-オリザノール」が、その効果の発現に深く関与していることを発見したのです。これは世界初の発見でした。

マウスも人間も、高脂肪食に対して強い依存性を示すことが知られています。これは感覚的になんとなく分かりますよね。ですが驚きなのは、高脂肪食に対する依存性の強さは、タバコやアルコール、麻薬類に対する依存性を上回るということなのです。

この高脂肪食の強い依存性は私達の食生活に悪循環をもたらします。高脂肪食を摂取すると、視床下部における小胞体ストレスが亢進します。この小胞体ストレスは高脂肪食に対する嗜好性をさらに強めるので、どんどん高脂肪食への依存が強くなっていくのです。

ここで玄米の有効成分である「γ-オリザノール」が役に立ちます。γ-オリザノールは視床下部における小胞体ストレスを軽減する”分子シャペロン”として機能します。そうすることで高脂肪食依存への悪循環を断ち切り、それに起因する生活習慣病を予防することへ繋がっていくのです。

γ-オリザノールによる食生活の改善

このようにγ-オリザノールには高脂肪食依存への悪循環を断ち切る効果がることを解説しましたが、この効果についてさらに詳しく見ていきましょう。

筆者らのマウス実験も含め、経口投与されたγ–オリザノールは血液脳関門を通過して高濃度で脳に分布することが判明しています。ここで期待される効果は、認知機能の改善や数々の依存症の改善、むずむず足症候群の改善など、脳を作用点とする多種多様な作用です。

従来γ-オリザノールは視床下部におけるカテコールアミン代謝に作用して自律神経機能調節に関わることが知られていました。この効果を期待して、臨床ではや自律神経失調症、過敏性腸症候群や脂質異常症などに応用されてきました。

これに加えて、筆者たちの研究チームは新たなマウスの実験によって、玄米による党代謝メカニズムにγ-オリザノールの効果が関与していることも判明したのです。

玄米を活用して”満足しない脳”を”足るを知る脳”に変える

このように多くの健康効果をもたらす玄米有効成分のγ-オリザノールについて解説してきましたが、1番の大きな機能は「”満足しない脳”を”足るを知る脳”に変える潜在力が秘められている」ということです。

高脂肪食依存と薬物中毒は非常に似ています。両者はどちらも脳内報酬系の閾値が上昇し、それまでの血中濃度では報酬が得られてないと脳が認識することによって依存がさらに強まります。つまり”満足しない脳”になってしまっているのです。しかしながら、玄米有効成分のγ-オリザノールは、この”満足しない脳”を”足るを知る脳”に変える機能を持っています。”満足しない脳”の状態では脳内報酬系が破綻しており、ドーパミン受容体シグナルのエピゲノム修飾が起こったり、小胞体ストレスが増加したりしていますが、γ-オリザノールはこういった破綻した脳内報酬系を正常化するのです。そのように、玄米食はその成分によって糖尿病はじめとする生活習慣病の予防や改善に役立てることができるのです。

まとめ

今回は玄米の有効成分のγ-オリザノールについて解説しました。一般的に白米と対比して玄米が栄養価が高いことは広く知られていますが、このような有効成分が含まれていて、高脂肪食や依存症からの脱却に効果があることは、初めて聞いたという方も多いのでしょうか。

他にも玄米食は健康長寿や抗老化に有用な食品として、難消化性全粒穀物の有用性が全世界的に注目されており、難消化性全粒穀物の日常摂取は内臓脂肪がたまりにくく、メタボリックシンドローム予防効果があることも報告されています。

このように、玄米食は身体の健康を願う多くの人々にとって役立つ食品であることは間違い無いでしょう。本書ではその他にも要約では説明しきれなかった玄米の有効成分の効果や実際の臨床現場での事例が、筆者の経験を元に現実味を持って描かれています。ぜひ本書を一読して、皆様の健康生活の一助になれば幸いです。

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