今回は、「スーパーアミノ酸 アルギニン」の要約です。
著者は医学博士/尾崎 東明(おざき はるあき)氏です。
今回は、アルギニンというアミノ酸の1種について解説します。
アミノ酸とは、「BCAA アミノ酸」要約でも詳しく解説しましたが、現在わかっているだけでも約500種類あります。
その中でも人体を構成するたんぱく質の構成成分は、20種類だけです。
その20種類のうち、9種類は体内で生成できないため、外部から摂り入れる必要があり、これは、「必須アミノ酸」とよばれます。
残りの11種類は体内にある他のアミノ酸から合成できるために「非必須アミノ酸」とよばれています。
しかし、乳幼児や子どもの場合は、体内で合成できないアミノ酸が1種類増え、「必須アミノ酸」が10種類となり、その1つが「アルギニン」なのです。
本要約の要点は3つです。
1.肝臓疾患の予防・改善
2.デトックス効果
3.脳の活性化と疲労回復
肝臓疾患の予防・改善
アルギニンはアミノ酸の1種で特に子どもの成長期の他、性機能の強化などに欠かせないものです。アミノ酸は私たち、人間をはじめ、地球上の全ての生命を直接動かしている、仕事人なのです。
さまざまな種類がありますが、私たちが生きていくのにかかすことのできない20種類のうち、特に、重要とみなされているのが、リジン、トレオニン、トリプトファン、メチオニン、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、ヒスチジンの9種類です。
また、生命の鍵を握っているともいうべきアミノ酸は、現在さまざまな形で医薬品の分野への利用がすすんでいます。
最も端的な例が「白い血液」といわれる輸液です。輸液の成分は体たんぱく質の合成に必要な必須アミノ酸をはじめ、カロリー源となる脂肪炭水化物、ビタミン類などを混ぜ合わせたもので、特に体の中心的臓器である肝臓の機能を高める意味から、アルギニンも多く含まれています。
アルギニンはフランスでは、50年ほども前から、さまざまな目的で医薬品として幅広く利用されており、フランスで販売されているアルギニンは国内だけでなくヨーロッパ全土にも利用者がいます。
その効能書によれば、疲労回復、強肝剤、強精剤として愛用されています。
フランスでアルギニンの利用目的の第一の目的にあげられているのは、肝臓疾患の予防と改善です。フランスでは、食事中には水代わり、仕事の合間にもワインブレイク、仕事が終わればまた1杯、そのうえでナイトキャップに度数の高いコニャックを飲むというお国柄です。当然、ワインをはじめとするアルコールの消費量は群を抜いており、一人当たりの年間摂取量は世界一を占めています。
したがって、アルコールによる肝臓疾患でも群を抜き、肝臓病の終着駅といわれる肝硬変で亡くなる人の9割までが、アルコール性なのです。
肝硬変疾患にアルギニンを治療に応用した結果、大多数の肝臓疾患の改善に効果を示しています。
デトックス効果
デトックスは英語の「解毒」「毒抜き」から来た言葉です。
アルギニンの需要な働きのひとつに、解毒作用(デトックス)があります。
体の中には、PCB、ヒ素などの有害物質、水銀や鉛などの有害ミネラルなどがあります。
これらは、普通に生活していても、水、土壌、食べ物などから毒素が入り込んでしまうのです。体内に溜まった毒素を便、尿などと排出することで、毒素によって働きが阻害されている酵素を活性化させて、新陳代謝を高めようというものです。
つまり、摂取した栄養素の力を発揮させるために有害なものを排出させるということです。
もし、アルギニンが不足することになると、解毒作用がスムーズに行われにくくなることになるのです。
体内に毒素がたまってしまうと免疫力が低下したり、ガンの発生や糖尿病、高血圧、動脈硬化、肝臓病といった生活習慣病になってしまいます。アルギニンには免疫力を高める効果もあり、アルギニン効果と呼ばれ、主に成長ホルモンの分泌に大きく関係し、体内の活性化、免疫反応の強化、筋肉の強化などに効果があります。
脳の活性化と疲労回復
フランスで年間1千万本も売れているアルギニン栄養剤の効能書によると「筋肉疲労と頭脳疲労の回復が目的」となっています。
「頭脳」の面では、規則正しい睡眠を可能にする頭脳の新陳代謝に直接的な効果をもたらします。つまり、熟睡、気持ちの良い目覚め、正確な記憶力、広がる知的労働の可能性を示してくれます。
「筋肉」の面では、アルギニンの効果によって、筋肉細胞の再生を助けてくれ、神経の興奮を鎮めることにより、筋肉と心臓の働きを増進させてくれるわけです。
このように、アルギニンというのは、主に成長ホルモンの分泌に大きく関係するわけですが、効果的に吸収するには、アルギニンと共に、ビタミンB6を上手に摂ることも必要なことです。
またアルギニンは血管などの機能を正常に保つためにも必要なアミノ酸です。
それは、血管を広げるために必要な一酸化窒素がアルギニンから作られるからなのです。
つまり、アルギニンは血管を広げて血液を通りやすくするために重要な役割を果たしているのです。
まとめ
アミノ酸の1種であるアルギニンについて、理解いただけたでしょうか?
アルギニンの効果は子どもの成長にも影響しますし、肝臓疾患やデトックス効果、免疫力向上など多岐にわたります。
ぜひ、アルギニンの多く含まれる食品を積極的にとっていただきたいものです。
多く含まれる食品として、群を抜いているのは、畑のお肉といわれる大豆です。
100g中のタンパク質は、34.3gもあり、しかもそのうちの7.5%がアルギニンなのです。
その他には、チーズやアジや牛肉といった食品に多く含まれています。
健康に過ごすためには、バランスの良い食事が大切です。
日頃の食事を見直してみてはいかがでしょうか?
興味があればぜひ一度手にとって読んでみてください。
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