健康に関する本のブログ

高血圧はGABAで治す(矢澤一良氏、大森正司氏)要約

健康に関する本のブログ

GABA(ギャバ)は、アミノ酸の一種で、正式名称を『γ-アミノ酪酸』といい、その英語名の頭文字をとったものです。この本では、GABAとはいったい何なのかといった基本から始まり、高血圧対策になぜ効果があるのかを教えてくれています。GABAは多く摂取しても身体への害はありませんが、普段の食品ではごく少量しか摂取できないため、GABAを含む食品に加工処理を加えた食品を摂る必要があります。そういった食材も案内しながら紹介していきます。

本要約の要点は以下の四つです。

(1) GABAはどういった物質なのか
(2) 高血圧対策に最適なGABA。血圧を正常化する3つのしくみ
(3) GABAが改善してくれる病状
(4) GABAを豊富に含む食品

(1) GABAはどういった物質なのか
GABAは自然界では、動物や植物など広く分布し、お米やお茶、野菜や発酵食品などにも微量ながら含まれています。また人をはじめとする哺乳動物の脳や脊髄にも多く存在し、脳内のギャバはそこで思考力や感情といった欠かせない役割を果たしています


GABAは「抑制性」の神経伝達物質の代表です。その反対である「興奮性」の神経伝達物質であるグルタミン酸の暴走を抑えるのが、このGABAであり、健康成分として大いに注目されています。ストレスの多い現代人の脳内では、グルタミン酸偏重となりやすく、神経が常に高ぶった状態となり、全身に悪影響が出やすく、その最たるものが血圧の上昇です。そこでそれを抑えてくれるブレーキ役がGABAなのです。


1963年にアメリカの研究者が動物にGABAを投与すると血圧の上昇が抑えられた報告を契機に、GABAには脳への酸素供給量を増やしたり、脳細胞の代謝を活性化する働きがあることが明らかとなりました。これにより、日本では1959年にGABAの誘導体が医薬品として認められ、「ガンマロン」と呼ばれています。実際に、脳卒中や頭部外傷の後遺症、脳動脈の硬化症による頭痛、耳鳴り、記憶障害、意欲低下などに適応されており、医療現場で使われています。

(2) 高血圧対策に最適なGABA。血圧を正常化する3つのしくみ
高血圧に対するGABAの効果は多くの動物実験で立証されています。人の本態性高血圧と同じ症状を示す動物として、高血圧自然発症ラットの使用があります。このネズミは、遺伝的に高血圧になりやすい要因をもっていて、放っておくと加齢につれて血圧が上昇していくものをGABAの豊富なエサを与えることで、どこまで抑えられるかをみていくものです。

結果ではギャバの投与量が多いほど血圧降下作用が得られ、GABAを豊富に含む紅麹やGABAを増やしたクロレラ、米ぬか漬け由来の乳酸菌が作り出すGABAをエサに使った実験でも、同じような血圧降下作用が確認されました。もちろん動物実験のみならず、実際の臨床試験の結果でもGABAの降圧効果は顕著で、特に血圧が高い人ほど大きな成果が見られました。また血圧が正常範囲まで下がってからも、その状態を維持する方向に働くため、降圧剤と大きく異なるのが特徴です。つまりGABAは高血圧に基づいて発生する脳卒中や合併症を防ぐ上でも大いに役立ちます。
実際に血圧を正常化する3つのしくみは、先ず腎機能を高め、塩分の排泄を促してくれることです。GABAは腎臓の働きを活発にする作用があるので、それが利尿を促し、不要な塩分を体外へだしてくれます。2つめに、GABAは血管を広げて血行を促してくれます。GABAは血液の流れをよくする特効成分でもあるので多方面から血管拡張に貢献してくれます。3つめにGABAは動脈硬化の抑制にも役立ってくれます。血管の老化を防いでくれるため動脈硬化の促進因子である血液中のコレステロールと中性脂肪の増加を抑える働きも期待できるのです。

(3) GABAが改善してくれる病状

GABAは脳の血行をよくして、脳の神経細胞にたくさんの酸素を供給する働きがあり、これが脳卒中でダメージを受けた神経細胞の再建にも役立つため、脳卒中の予防と回復にも有効です。またGABAはインスリンの分泌促進に有効です。糖尿病は、血液中の糖をエネルギーとして利用するときに欠かせないインスリンが足りなかったり、その働きが低下することで発生しますが、GABAにはインスリンを生成・分泌する膵臓の働きを活性化する働きがあるため、糖尿病の食事療法にもおすすめです。
GABAを日常的に摂っていると、全身の組織や臓器の働きがよくなり、糖の消費量が増し、同時に肝臓での糖の分解も高まります。更に血糖値があがると、網膜症や腎病、神経症、脳卒中や心筋梗塞などが起こりやすくなり、血管を若く保つGABAの効果はこれらの予防にも役立ちます。
それだけでなく、GABAを日常的に摂取していると、血行がよくなるため、神経細胞の1つ1つが活性化され、自律神経の安定につながるため、更年期障害や痴呆症対策にも効果があります。脳内のGABAの量は年をとるにつれて誰しも減っていきますが、脳の中でも特に、記憶をつかさどる「海馬」と呼ばれる部分のGABAが大幅に減ることが痴呆の発生に関与していると考えられています。そのため、GABAを積極的に摂取し、脳内にいつも十分なGABAを満たしておくことは、脳の老化ひいてはアルツハイマー病の予防に不可欠と思われます。
既に痴呆症状が出ている場合でも、GABAの働きで脳の血流をよくし、脳への酸素供給量を増やすことで、残っている神経細胞を最大限に活性化できれば、その回復の一助になることは十分考えられるとのことです。

(3) GABAを豊富に含む食品
GABAを含んでいる食品に加工処理を加えると、その食品中のグルタミン酸がギャバに置き換えられ、結果的にGABAが増量する現象が起きます。例えば酸素を遮断し加工したお茶の葉である「ギャバロン茶」や、玄米を一定条件の水に浸し、わずかに発芽させたお米、「発芽玄米」があげられます。発芽玄米は胚芽中のグルタミン酸がGABAに置き換わり、通常玄米のおよそ3倍のGABAを含むといわれています。他にもカビの一種を蒸米に繁殖させて作った紅麹などがあげられます。

まとめ

本書ではGABAがなぜ身体に良いのか、高血圧を改善するだけでなく予防までしてくれるのかを、他の病状改善例と共に効能を詳しく説明してくれています。著者は日常的にGABAを毎日摂り続けるなら、1日10mgぐらいだと考えています。ただ通常の食品から無意識の内にGABAを補給すると、その量はごく僅かにすぎないため、積極的にGABAの豊富な食品をとる必要を説いています。本書ではより詳しい内容が書かれていますので、気になった方は是非一度手にとってみてください。

Follow me!

Twitterでフォローしよう
PAGE TOP
タイトルとURLをコピーしました