今回は「酵素」の要約です。
著者は医学博士の星崎 東明(ほしざき はるあき)氏です。
酵素というと何を思い浮かべますか?
酵素は体に良いといわれ、酵素という名前のついた飲料や、サプリなど、たくさんありますよね。しかし実際、酵素って何なのか、説明できる人は意外と少ないのではないでしょうか。
酵素というのは、辞典によれば、「生物の体内におこる化学反応の触媒となる有機化合物」と書かれていますが、酵素は人間の健康全体にとって、重要なカギとなり、「体内酵素」が活性化することで、老化を防ぎ、病気を予防するのです。
体の中に、もし酵素が不足してしまうと、体調不良となり、いろいろな病気の原因となり、寿命が短くなったり、また、難病といわれる病気の原因となったりもします。
本要約では、酵素とはいったい、どのようなものなのか、人の体にどのような作用を及ぼすのかについて、詳しく説明いたします。
本要約の要点は、3つです。
1. 酵素とは
2. 抗酸化酵素の働き
3. 酵素と老化・免疫力低下の関係
酵素とは
酵素は人間の体の中での消化活動、新陳代謝、運動や思考などの生命活動を行うためには欠かせないものです。
六大栄養素として、炭水化物、脂肪、タンパク質、ビタミン、ミネラル、食物繊維が健康の維持に重要ですが、これらの栄養素を体内で充分に役立たせるのには、「酵素」の力が必要不可欠なことがわかってきました。
酵素こそが、生命のいろいろな営みにおける根源であることが明らかにされてきたのです。
生命のすべてのものには、酵素があります。そして、酵素は生命活動の全てに関わっているために「生命の源」ともいわれます。
私たちが毎日摂取している果物や野菜などにはいろいろな多くの酵素が含まれています。しかし、果物や野菜の酵素(食物酵素)が直接、腸から吸収され、体内で働いているわけではないのです。
体内で酵素が生合成されるためには、酵素を構成している特殊な組み合わせの、アミノ酸やペプチド、ビタミン、ミネラル、ポリフェノールなどの食物微量成分が必要となります。
もし、その食物微量成分が不足すると、体内酵素が作れなくなり、病気を招くことになるのです。
人間の健康に関わる酵素には、「消化酵素」「代謝酵素」「食物酵素」というものがあります。「消化酵素」は、食べたものを体が吸収しやすいように消化するための酵素です。
例えば、ご飯などに含まれているデンプンの分解にはアミラーゼ、肉などのタンパク質の分解にはプロテアーゼ、脂肪の分解にはリパーゼといったぐあいです。
これらの消化酵素の働きによって、分解された栄養素は小腸で吸収されて、体の役に立つエネルギーとなるのです。
次に「代謝酵素」というのは、消化酵素により、栄養素がエネルギーになってから、それを体の中で働かせる酵素です。
吸収、脳の働き、運動、老廃物の排出、ウイルス等と戦う働き、肌の新陳代謝、人間の生命活動の全ての面で代謝酵素が働いているわけです。
また、この「消化酵素」と「代謝酵素」には、深い関連があり、消化酵素が万全に働いて、代謝酵素も活発に働き、消化がよければ、代謝も良いということなのです。
抗酸化酵素の働き
私たちが呼吸によって取り入れている酸素のうち約2~4%が特に活性の激しい酸素に変化し、活性酸素(フリーラジカル)とよばれます。
活性酸素は私たちの体には、有害であり、生活習慣病や慢性疾患の90%は、活性酸素がその原因として関係しているという内容の新学説が発表されております。
また、活性酸素は老化はもとより、ガンの原因となることも確認され、報告されています。
この活性酸素に対し、対抗するのが、抗酸化酵素です。
抗酸化酵素には、いくつかの種類があり、その代表がSOD(スーパーオキサイドディスムターゼ)やカタラーゼ、グルタチオンペルオキシターゼなどです。
これらの抗酸化酵素は、連携プレーを発揮して、体の中で活性酸素ができるのを片っ端から無害化していきます。
抗酸化酵素の補因子として、不可欠な働きをしているのが、銅、亜鉛、鉄、マンガン、セレンなどのミネラルです。この補因子は酵素が活動するときに、必要不可欠です。
ビタミンやミネラルといわれる微量栄養素がそれにあたります。
ミネラルは酵素を活性化して、必要な機能をさせるために不可欠な補因子の役目をしていますが、欠乏が心配されています。ミネラルが不足すると、知らず知らずのうちに、体調が悪くなって、慢性的な疲労の原因などにもなります。
そして、ミネラルは人間だけではなく、他の動物も植物も体内で合成することは不可能なので、私たちは、植物や動物、魚などを摂ることによってミネラルを大切な栄養源として摂取しているのです。
酵素と老化・免疫力低下の関係
老化の原因には多くの説がありますが、その中の「酵素栄養学」によると、「老化とは一生で一定量の潜在酵素が減少することによって生じる体の消耗」という新しい説があります。
酵素が減ってくると体もそれにともない、だんだんと弱ってくるわけで、老化が進行するというわけです。老化が進むと、寿命が短くなってしまうだけでなく、ガンや慢性病にもなりやすくなります。
また、私たちの体は、日常的に外部から侵入した病原菌や毒素などの攻撃を受けたり、体の内部でも正常な細胞が、ガン化するなどの異常が発生したりしています。
このようなことに対し、体を守るために私たちの体の中には、免疫システムが備わっています。ですが、体が歳をとり、免疫力が低下していくことにより、ガンをはじめとするいろいろな生活習慣病にかかってしまうわけなのです。
酵素は体を守る免疫システムにおいても、必要不可欠な働きをしており、免疫細胞の主力部隊ともいえる白血球は、細胞内にある酵素を使って、ガン細胞や病原菌を攻撃すると同時に、死んだガン細胞や病原菌を溶かしてしまう酵素も分泌して排除していきます。
日頃から酵素を摂取していると、血管や血液の汚れが分解されてきれいになって、血液もサラサラと流れるようになります。そして、心臓への負担も軽くなり、高血圧や脂質異常症、動脈硬化、脳梗塞、心筋梗塞などの予防にもなります。
まとめ
今回は、生命のいろいろな営みにおける根源である「酵素」について、解説してきました。
酵素のパワーによる効能は、びっくりするくらい多岐にわたるものですね。
酵素は、人間の体には、必要不可欠であり、不足することによって体調不良や、生活習慣病、さまざまな病気の原因となります。
直接、野菜や果物から、摂取し働くものではなく、アミノ酸やププチド、ビタミン、ミネラル、ポリフェノールなどの食物微量成分の力で最大限効果が発揮されることがわかりました。そのためにも、バランスよく食事から摂取することが大切なのです。
その他の効能に関しても、触れられているので、気になる方は、ぜひ一度手にとって読んでください。
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