健康に関する本のブログ

重要なビタミンB群(山口武津雄)要約

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今回は「重要なビタミンB群」の要約です。
著書は大阪市立大学医学部講師で医学博士の山口武津雄(やまぐち・むつを)氏です。

『やる気がない』や『イライラする』、『頑張りがきかない』など、現代人の多くは、身体の不調を数多く抱えています。このような症状に対して大きく関わっているのがビタミンB1です。ではビタミンB1だけを摂っていてもやる気が出たり、元気が出るかというとそうではありません。糖質や脂肪、タンパク質などをバランスよく含まれた食事をし、その上でビタミンB1をはじめ、ほかのビタミンやミネラルなどを摂ることが大切だと著者は説いています。では具体的にビタミンB1とは一体何なのか、またその種類や効果はもちろんのこと実際にそれらを含有する食品やその所要量まで本書は説明してくれています。

本要約の要点は3つです。
1、 ビタミンB群とは何か
2、 江戸わずらい、脚気(かっけ)とビタミンB1
3、 ビタミンB1やB2を含有する食品

ビタミンB群とは何か

ビタミンには多くの種類があり、その化学構造はそれぞれ個別で、その作用も異なるため、一定の規準によって分類することは出来ません。そのため一般的に、水溶性ビタミンと脂溶性ビタミンとに大別されています。その水溶性ビタミンの内、ビタミンCを除くものを一括し、ビタミンB複合体、またビタミンB群といわれています。
ビタミンB群は体内の代謝に関与しており、遊離型そのものが直接関与するのではなく、種々の栄養素を体内で分解するときに活躍する酵素の構成成分として作用します。そのため摂取されたB群は、体内の各臓器において、特異的な補酵素に変えられ、特異な代謝反応の媒体となって作用します
ただビタミンB群は水溶性なので、所要量程度のものはきわめてよく吸収されますが、一度に大量に摂っても余分なものは尿から排出されてしまい、体内には貯蔵されません。そのため毎日、十分、経口的に補充するのが最もよい方法です。

また水に溶けやすいため、米や野菜などは調理に際して、洗えば洗うほどビタミンB群は失われてしまうのです。そのため調理法としては、出来るだけ、その汁も一緒に食べたり飲んだりした方が効果的です。そしてB群のビタミンには相互作用があるので、個々に摂るよりも、全部一緒に摂った方が高い効果を期待できます。実際に、ビタミンB群が不足すると、疲れやすくなるのはもちろんのこと、食欲不振をまねいたり、皮膚に特有の症状が出たりすることがあります。特にビタミンB1は潜在性欠乏症が最も多いのでB1の充分な摂取が大切とされています。

江戸わずらい、脚気(かっけ)

脚気はビタミンB1不足から起こるものです。江戸時代の参勤交代において、各藩の主が江戸に出仕させられた際、『江戸わずらい』と呼ばれるものがありました。江戸に住んで精白した米飯を食べていると起こり、逆に郷里へ帰って玄米や麦飯を食べると治るものでした。これはビタミンB1の欠乏によっておこる脚気が原因でした。

東邦大学の阿部達夫教授の研究報告によれば、『欠乏症全体の6割がB1欠乏だ』とのことです。B1欠乏に対して人は意外と気付きにくいようです。ビタミンB1の働きは、簡単にいえば、ブドウ糖と脂肪、アミノ酸の代謝に、他のB群ビタミンと共に補酵素として役立つとともに、神経組織や心筋ではアセチルコリンと共に神経の刺激伝導に役立っています。したがってビタミンは糖質の代謝になくてはならないもので、欠乏すれば末梢神経や中枢神経の障害や、循環障害、さらには消化器系にも害を及ぼすほど多岐にわたります。
それらは江戸時代だけの問題ではなく、昭和45-50年に鳥取県や鹿児島県で、男子高校生の多数が脚気にかかったという事実があり、その原因は食生活にありました。彼らがよく口にするものとして、菓子パンやインスタントラーメン、清涼飲料水などが多くあげられました。これらの食品はいずれも糖質で、ビタミンB1がほとんど含まれていません。そのため糖質は必要以上に摂っているものの、B1は不足であったため脚気となったのです。

ビタミンB1やB2を含有する食品

ビタミンB1は現在最も不足しがちなビタミンの1つで、特に気を付け充分に摂取しなければなりません。多くの野菜類のほか、玄米や麦、胚芽米にアルファルファ、大豆などの豆製品などに加え、プルーンなどの柑橘類、肉類では豚肉など多く含まれています。またやつめうなぎや落花生、たらこやニンニクなどにも多く含まれています。ただビタミンB1は熱で壊れやすいため、調理に際しては注意が必要です。しかしアルコールやカフェインに対しても大敵です。できれば加工食品などは極力避けて、自然のものを上手に食べるとビタミンB1がしっかりと摂取出来ます。

それに対し、ビタミンB2はリボフラビンと呼ばれており、牛乳から発見されたビタミンで、牛乳に多く含まれています。アーモンドやレバーをはじめ、ホウレン草や春菊といった緑黄野菜にもバランスよく含まれています。ただビタミンB2は紫外線で破壊されやすいため、日光にさらすことを避ける注意が必要です。
ビタミンB2は解毒作用もありますが、成長促進作用もあります。そのため生体にとって大変重要なもので欠乏すれば、表皮の根元にある基底面の発育が阻害されるとともに、脂質の代謝が障害され、その結果、小鼻の両側の皮脂腺に多量の脂質が溜って炎症を起こします。そのほか脳の回転が鈍くなり、知能低下や記憶力減退、痴呆などの原因となります。ビタミンB2の貯蔵は肝臓で行われますが、このとき蛋白質と結合して存在しているため、蛋白質が不足しているとB2は肝臓で結合できないため貯蔵されず、尿とともに排出されてしまいます。そのため低蛋白質食を続けることもビタミンB2の欠乏を起こす要因ともなるのです。 

まとめ

この本の要約では、ビタミン群とは何かから始まり、その種類とそれぞれの効果、また実際にそれぞれのビタミンB群を含有する食品の詳細などが詳しく説明されています。実はビタミンB1は、糖の代謝量や筋肉労働でエネルギー量が増す消費が増すため、個々人により1日の必要量もが変わってきます。消費エネルギー1000キロカロリーあたりの所要量は0.4ミリグラムで、これを平均的成人ひとり当たりの1日の所要量にすると1.2ミリグラムとなります。他にもビタミンB6やビタミン12などの所要量に関しても説明してくれていますので、気になった方は是非一度、本書を手にとって読んでみてください。

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