食に関する本のブログ

玄米のエビデンス_第1章(渡邊昌氏)要約

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今回は、「玄米のエビデンス 第1章」

著者 渡邊昌氏の本の要約です。

動画でさっと動画で見たい方は、こちら、約8分半です。

文章で読みたい方はこちら。目次でお好きなところからお読みいただけます。

玄米のエビデンス_第1章 著者 渡邊昌氏

日本人の主食は「お米」ですが、その多くは玄米ではなく白米を指します。しかしながら、白米は玄米と比べてビタミンやミネラルが少なく、栄養的には炭水化物がほとんどを占めています。本書では、栄養的にも非常に優れた玄米食を薦め、その効果を体感してきたそれぞれの分野の医師に体験例をもとに記述してあります。今回はその第一章について解説していきます。

第一章のテーマは「玄米は世界を救う」
著者は日本綜合医学会会長であり公益社団法人生命科学振興会理事長の渡邊昌氏です。

本書の要点は以下の三つです。

(1)東洋の食養学と西洋の栄養学
(2)玄米食と現代の白米食
(3)玄米はなぜ体にいいのか

東洋の食養生と西洋の栄養学

日本には食養生という概念があります。この概念は平たく言えば「何をどのように食するのが健康維持のために良いのか」という、多くの先人たちから踏襲されている概念のことです。そしてこの食養生こそ、かつての日本人の健康に大きく貢献してきました。明治に入ってからは石塚左玄のように食の重要性を唱える医師が現れ啓蒙活動をしていました。一方で明治維新以来、西洋科学の流入とともに医学・医療はドイツの学問体系をとることになり、東洋医学的なもの、つまり食養生は一切排除されました。ここで日本でも取り入れられたのが西洋の栄養学でした。

食養生と栄養学には重視する点に違いがありました。前者は玄米・菜食を重視、つまりビタミン、ミネラルやその他機能性物質などのミクロ成分を重視したのに対して、後者はタンパク質や三大栄養素のバランスを重視、つまりはタンパク質、脂質、糖質のマクロ成分を重視していました。

西洋から取り入れられたドイツ流の栄養学は特に三大栄養素の比率を重視していましたが、これは栄養学に関わる研究者は獣医が多く、家畜をいかに太らせるかが大きな問題だったからです。

西洋の栄養学に心酔する医者が多い中、石塚左玄は食養生を普及させようと「食養会」を発足させて「食糧雑誌」を創刊しました。左玄は東洋医学とその伝統的な生活、衛生法を新時代の化学の論理で基礎付け、「素問」のいう「いまだ病まざるに治す」という最高段階の医学を目指したのです。

玄米食と現代の白米食

左玄の食養生で特に注目する点は、玄米の良さを説いている点です。では、実際に玄米の食事をすると栄養学的に必要な栄養素は取れるのでしょうか?答えはYESです。宮沢賢治の「雨ニモマケズ」という詩を例に出してみましょう。その中の一節に「1日に玄米四合と味噌と少しの野菜を食べ」という文が出てきます。実際この食事でどのくらいのエネルギーが摂れるかというと、なんとエネルギーは2100キロカロリー、タンパク質は44グラム、脂質は18グラム、炭水化物が457グラムと極めて健康食だったのです。さらにビタミン、ミネラルは厚生労働省の食事摂取基準の数倍も摂れていることがわかりました。

現代では宮澤賢治の生きていた時代よりもはるかに裕福になり、食べるものに困る人も激減しました。しかしながら、昔の日本よりも栄養価の低い食事をとっている人々が大勢います。これは、主食として玄米ではなく白米をとっていることが大きな原因の一つです。

日本人は遥か昔の弥生時代から米を食べてきました。精米技術自体は室町時代に酒造のために中国から伝わりましたが、普通の米の食べ方は玄米でした。そして江戸時代に入り、侍は白米を食べるようになりましたが、庶民は雑穀米を食べてきました。その結果、江戸勤めの侍は精白米を食べて江戸患いという脚気に苦しむこととなりました。明治になって精米技術が進み、軍隊でも精白米が提供されるようになり、それとともに脚気の頻発に悩むことになりました。海軍はパンあるいは麦めしを採用していたので日清、日露戦争でも脚気患者が出ませんでした。それに対して陸軍は白米にこだわり、日露戦争では脚気による死者の方が戦死より多かったとも言われています。

玄米はなぜ体にいいのか

それでは一体なぜ、白米食と玄米食でこれほどまでに違いがあるのでしょうか。これは、米の構造を見ていくことでわかります。玄米の組織構造は、外側から果皮・種皮からなる外糠層、糊粉層からなる内糠層、デンプン層となっており、果皮から糊粉層までの「糠層」は重量比率で玄米100%に対して5~6%、そこに胚芽2~3%を足した、約8%がいわゆる「糠」となります。


そして、この「糠」にこそ、ビタミンやミネラルなどの玄米の機能的栄養素のほとんどが含まれています。それに対して白米は、この玄米から「糠」を取り除いたものであるため、デンプン層だけが残ってしまい、栄養的にもあまり優れていません。栄養的には玄米こそが最も優れた完全主食といえます。

しかしながら日本の米の消費量は戦後年々減り続けています。これには日本人の食文化の変化や、国の米政策が深く関わっています。この食の変化が、現代を生きる日本人の生活習慣病の増加を招いてしまいました。今こそもう一度人類の食生活と将来を考える時ではないでしょうか。

まとめ

今回は「玄米のエビデンス」の第一章である「玄米は世界を救う」について解説していきました。現在の日本や多くの国では西洋医学や西洋の栄養学が主流ですが、そんな今だからこそ東洋の食養生の概念が生きてきます。その中でも特に左玄が説いた玄米食の薦めは、栄養学的にも非常に優れた考え方といえます。オススメは宮沢賢治の「玄米と味噌と少しの野菜」であり、これは栄養学的にみても完全食です。皆さんも是非、自らの食事を玄米を主食とする少食にしてみてください。それがあなたの健康を創る、1番の近道かも知れません。

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