食に関する本のブログ

「食」で医療費は10兆円減らせる (渡邊 昌)

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平成になってから国民医療費を含めた社会保障費はますます増大しており、国家財政の破綻が懸念されています。そうした中で、本書の著者は「人間の体しか見ない従来の医療から、食・こころ・体を一体的・全人的に見る考え方」を提唱しています。著者は、医者でありながら自身の糖尿病などの経験もあって、西洋医学、東洋医学、栄養学、食養生などを研究し、それらの長所を総合的に組み合わせた「統合治療」に挑戦しています。本書では、「食の重要性」と「医療のパラダイム転換」という視点から見解を述べていきます。

本書の要点
1.糖尿病は食事と運動で治せる
2.がんを増やした日本、がんを減らしたアメリカ
3.がんにならないためには、何を食べたらいいのか
4.「統合医療」では、病気ではなく人間を診る
5.統合医療は、医療費削減の第一歩となり得る

解説
1.糖尿病は食事と運動で治せる
現在、日本人に多いのは生活習慣病である「2型糖尿病」です。日本人はもともと肉食ではなかったのですが、戦後、急激に肉食が増えて、油脂類を大量消費するようになり、糖尿病などの代謝障害が当たり前になっていきました。では、筆者はどのようにして糖尿病を克服したのでしょうか。結論から言うと、欧米型の食生活から、玄米菜食を中心とした和食に切り替えて、血糖値のコントロールに成功したのです。加えて、よく噛んで食べること、毎日1万歩を持続することを行って、糖尿病を克服できました。このように、薬に頼らず体を正常に戻すことができた筆者は、統合医療への道を切り開くことになります。

2.がんを増やした日本、がんを減らしたアメリカ
がんを含めて、病気が治ったとしても、元の健康体に戻るわけではありません。だからこそ、がんにならないように予防対策を講じることが重要です。ここで、日本とアメリカのがん予防の現状についてご紹介します。アメリカでは、がん予防を国策として掲げて、そこに国民が自主的に参加し、実際にがんを減らしています。日本では、厚生労働省が掲げた食壊死活指針などもありますが、基本的には「二次予防」の考え方が主流だったため、病気にかかる前の食生活改善といった一次予防には届いていませんでした。よって、がんに罹る日本国民が増えてしまったのです。

3.がんにならないためには、何を食べたらいいのか
がんを予防する食生活には、以下の9つのポイントがあります。
①体重を抑えて、一日30分、早歩き程度の運動をする
②高カロリー食を控えて、糖分飲料を避ける
③いろいろな野菜、果物、全粒粉物、豆類を食べる
④肉類を控える
⑤酒類を控える
⑥塩分を控える
⑦がん予防の目的でサプリメントを使わない
⑧生後6カ月までは母乳で育てる
⑨がん治療を受けた体験者は、これらの推奨者となろう
これらは、行うだけで75%もがんのリスクを軽減する基本的な心得です。

4.「統合医療」では、病気ではなく人間を診る

さて、医療費の内訳を見てみましょう。国民医療費の90%は、入院医療費、入院外医療費、薬局調剤医療費の3つで占められています。そもそも、検査値(例:血糖値、コレステロール値など)の基準が変化すれば、何百人も患者数が増減しますね。また、さまざまな有効薬が開発されているため、医者にかかると必ずと言っていいほど何かしら薬が処方されます。こうした専門化・細分化のサイクルによって、医療費は増大しています。
そこで筆者は「統合医療」という考え方を打ち立てました。患者の「体」ではなく、「食・こころ・体」を統合的に診るというものです。

5.統合医療は、医療費削減の第一歩となり得る
医療費を占める割合を減らす対策として、たとえば、厚生労働省の「2025年までに療養型ベッドを10万床減らして在宅医療に誘導する」という指針があります。在宅医療は緩和ケアなども含むため、終末期医療になることが予想されています。さらには、統合診療医という人材を育てるために、人間中心のケア(患者、家族、コミュニケーション)、包括的統合アプローチ(複雑な健康問題への対応、健康増進と疾病予防、持続的な医療・ケアなど)、連携重視のマネジメント(チーム医療、組織運営マネジメントなど)、診療の場の多様性(外来医療、救急医療、病棟医療、在宅医療)などのコンピテンシーが掲げられています。
そして、今後の医療には、高度先進医療と地域医療のバランスが必要になっていきます。加えて、平均寿命が延びていることからも、終末期には「病気」を治すというよりも、「人」を癒す発想が求められ、西洋医学のみならず、東洋医学や他の伝承医療なども積極的に活用されるべきかもしれません。患者に寄り添い、よりよい統合医療を行うことで、医療費も適正規模になっていくことが見込まれます。

まとめ
今回は、がんをはじめとする病気を根本的に予防して、国民医療費を減らしていく取り組みをご紹介してきました。筆者が述べているのは、食事や運動を組み合わせて、薬に頼らず、体の中から、つまりこころの健康までもマネジメントしていく重要性です。本書には、医療費問題の詳細な背景についても解説されているので、興味を持たれた方は、ぜひ手に取ってみてくださいね!

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